姉様は日傘の中で棘を出す
川田由紀子
ぱっと日傘を開けば、そこはたちまち日傘圏。
容赦ない熱と紫外線からひとまず身を守って
姉様もふと油断したのだろうか。
薔薇の棘、
ハリセンボンの棘、
と棘にもいろいろあるけれど、
ふだんは見せない棘なる本性が一瞬あらわになって
近寄りがたくも、いっそう艶っぽい。
本作、「姉様」という古風な呼称が物語性を濃くしている。
書き手は妹、はたまた妹分で、
憧れの姉様を敬愛しつつ、畏れてもいるような。
そんな二人の関係性も面白く、
句には妹の棘もちらりとのぞく。
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