道程は長い 納豆かきまぜる
赤松ますみ
冒頭ずしんと「道程は長い」。
そのあとの一字空けのひと呼吸が
道程にも、納豆をかきまぜるにも掛かっている。
ふうと吐息ついて、気合入れて、
念入りにぐるぐるかきまぜるほどに
箸先のネバネバも長い、ながーい。
これが毎日のルーティーンなんだろう。
さても、納豆なる具象が絶妙。
見た目地味なるも、
なんたって日本の誇るヘルシーフード。
道程の長さをポジティブに受けとめ、覚悟し、
これからも愚直に歩んでいこうとする気持ち、
さらにはキャラクターまで物語っているよう。
当方、納豆を食す習慣はないのだけれど
久しぶりに朝食にプラスしたくなった句。
(『川柳作家全集 赤松ますみ』赤松ますみ
新葉館出版 2009)
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