カルピスの水玉を着る夏休み
澤野優美子
思わず、いいね!したくなる一句。
でもって、私も着よ!って。
と勇んでクローゼットから引っ張り出そうにも
はるか昔に断捨離してしまってたのだった。
でも、記憶の中には
永遠の一張羅として今年も出番を待っている。
白地にブルーの小さな水玉。
デビュー以来100年を超えるカルピスは、
かつての「初恋の味」のキャッチフレーズのイメージもキープしたまま
今も爽やかに甘酸っぱい、夏の定番ドリンク。
けれど、昭和世代はなんとも郷愁を誘われ、
この水玉にたくさんの「夏休み」が詰まっている。
掲句、夏ならではのさまざまなときめきが
「カルピスの水玉」でシンボリックに素敵に表現されている。
着るのはやっぱり木綿のワンピースかしらん。
として、たぶんZ世代ならあっさりパスしそうなクラシックデザインは、
おそらく主人公も私も、もう似合わない。
なのに句を口ずさめば、やっぱり気分があがって
そして、夏休みは必ず終わるというせつなさも伴って
この水玉にまたまたキュンと惹きつけられる。
(「水脈」第64号 川柳グループ水脈 2023年8月)
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