横町を曲がると準備中の月
泉 紅実
明日29日は中秋の名月。
そういえば、と目をつむれば
月の佳句があれこれと思い浮かんで、
ひと足早いお月見気分。
煌々と輝くザ・満月にまじって
掲句のような月にも愛嬌があり
くすっと笑みを誘われる。
横町ってもはや死語かも。
でもそれがかえって「昭和レトロ」っぽくて新鮮。
不意に出くわした月が「準備中」で、
お互いにあたふた、あ、どもどもなんて、
のどかでいいなあ。
そして主人公は、
もしやいつもこんな風に
間の悪い遭遇をしてしまうタイプ?
といったあたりにも
とっても親近感のわく一句。
(アンソロジー『輪舞の森 ー現代の秀句』
川柳大学 2003)
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