今日の一句 #626

神棚に一年分のわたぼこり
新家完司


一読、理屈抜きにくすっと笑ってのち、ほっと吐息をつく。
そしてちょっと遠い目になる。
一年分のわたぼこりは、
ついほったらかしにしていた無精と同時に
この家がこの一年、
とにもかくにも平穏無事であったことを物語る。


と思えば、わたぼこりのうっすらも
何やらありがたいもののように感じられ、
大切に丁寧に拭い浄められられたことだろう。

句の余白にも、さまざまなものが
こざっぱりしていく様子が浮かんで
清々しい。

出典は、この師走に刊行された新家完司川柳集で
タイトルもずばり『令和五年』。
本書は『平成元年』に始まり、

『平成五年』『平成十年』と
五年ごとに出される氏の句集シリーズの八作目となる。

新家氏ならではのユーモアや含羞を帯びた人生讃歌に、
たっぷり笑ううち、
心身がほこほことあたたまってくる。

 にんげんの森は毎日金が要る
 短命な家系の隅で八十歳
 本棚の鳩笛たまにポーと鳴く
 アルバムを懐かしむほど暇じゃない
 ちっぽけな山の形になり眠る


(新家完司川柳集『令和五年』 新葉館出版 2023年)


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