この辺でゼンマイをどう巻くかだね
守田啓子
だね。
とうなずく。
たぶん、私もゼンマイ仕掛けだから。
つまり、デジタルだなんだと世の進化に翻弄され、
恩恵にあずかりつつも、
自身を動かしているのは
結局、何かとてもアナログ的なものの気がする。
だから行き詰ったときは
電池ではなく、ゼンマイを巻くことから。
「このへん」がどのへんか。
書かれてはいないけれど、
主人公のアイコンタクトに、
うん、今だね、と思った。
さて、どう巻くか。
出典は2018年に出版された守田啓子氏の第一句集。
骨太なおもしろがたっぷりと収録されている。
踏まれたら蓬のような香を放つ
徒然草的生き方で吐く銀河
伏兵がぞろぞろと出るアドレス帳
忖度しない アボカドの種はずれない
ストローをうふふと這い上がって 春
(川柳作家ベストセレクション
『失った深さを埋めるように 雪』守田啓子
/新葉館出版 2018)
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