ふわりふわり私の意思と象の鼻
島村美津子
意思も、象の鼻も、
ふわりふわりと
まるでたわむれあっているみたい。
あらまあ調子に乗っちゃってと
自身ちょっと呆れているのか、
今日の軽やかを喜んでいるのか。
その、どちらでもあるのかな。
ふわりふわりのオノマトペにはじまって
本来、かたそうな意思や
重そうな象の鼻が
読み手の思い込みも次々ひょいと裏返してゆく。
今日の一句は、
元「時実新子の川柳大学」の創立会員で
神戸在住の島村美津子氏が、
卒寿の記念に上梓された
句集『われもこう』から。
いいんだよ何度も同じこと聞いて
すみれ色のシャツ着ていますみつけてね
おとこともだち包丁研ぎにきてくれる
この国を砂の器と思う日も
(句集『われもこう』 島村美津子/私家版 2020)
過去ログはこちらから▶