今日の一句 #494

うかうかとめくる真昼のプログラム  八木千代


つい、うかうかと。
真昼のプログラムなるをめくった

その瞬間から、
本人をヒロインとした
もう一つのドラマが同時進行していくような
句の二重構造がスリリングです。

作者の八木千代さんは大正13年生まれの97歳。
川柳塔の同人でありつつ、
結社や世代をこえて注目され続けている人気作家。


そんな八木千代さんの自選百句を収載した『椿野』が
このほど川柳塔のサイトで電子化公開されました。
1980年ごろに作られた豆本という体裁の貴重な本。


 鬼たちも人間ごっこして遊ぶ
 川上の霧は晴れたという噂
 落椿 天は拍手をしてくれる

そしてもう1作。
『椿野』には掲載されていないのですが
八木千代さんの代表作で
この季節になると

ことにも愛誦したくなるお気に入りの句です。

 まだ言えないが蛍の宿はつきとめた 

「川柳塔」はこちらから

(『椿野』八木千代/私家版)


※「芳賀博子の川柳模様」で連載している「はがろぐ」を
  こちらでもご覧いただけるようになりました。

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