とれそうなボタンめでたしめでたしよ
原井典子
GWに前後して、新聞のコラムなどが「五月病」を取り上げていた。
その五月も残りわずか。
初夏からいよいよ梅雨入りとなり、
ふうと空をのぞいたら、
ぽっと掲句が浮かんだ。
とれそうなボタン。
そのあやうさも「めでたしめでたし」とは
受容なのか開き直りなのか。
でも口ずさむと、自己暗示にかかって
心なしか、もやもやも晴れゆくような、
おまじないみたいな不思議な句。
作者は原井典子氏(1955-2015)。
本作は27年前に発行された
第一句集『捜索隊』より引く。
約束の通り一緒に入る風呂
真夜中の泳ぎ忘れた金魚たち
置き場所が決まっていない蠅叩き
いろいろの牛乳飲んでみてる秋
三十五過ぎればみんなおんなじよ
(句集『捜索隊』 原井典子/葉文館出版 1997)
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