そうくればこちらはアカペラで挑む
竹尾佳代子
余白ひろびろとあり、
想像力が刺激される。
「アカペラで挑む」の前段としての
「そうくれば」だから
さまざまな鳴りもの総動員で、
これみよがしに先行され、
攻め立てられているのか。
音の中にはきらびやかな電子音も
混じっていたり。
けれどこちらは丸腰。
しかしひるむどころか、
背筋ぴんと、同志とともにアカペラで挑もうという。
勝ち目はない?
いや、どうだろう。
まじりっけない声の力。
アカペラに耳を澄ませようとすると、
場は一瞬静謐を取り戻し、落ち着く。
その一瞬を味方として、
この騒々しい世の中に
どんな美しいハーモニーを聴かせてくれるのだろう。
(「触光」82号 川柳触光舎 2024年6月)
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