指人形のオオカミも真剣だ
金築雨学
オオカミったって、たかが指人形。
されど「真剣」だ。
真剣は侮れないぞ。
真剣はコワいぞ。
・・と、その真剣は誰に、どこに向けられているのか。
こんな指人形のオオカミの
無力と有力、
希望と絶望のいったりきたりが
なんとも身につまされる。
しかしながら作品はユーモアと詩情を湛え
「ああ、雨学さんだなあ」と
思わず遠い目になって。
作者の金築雨学氏(1941-2020)は
詩人で川柳人で、地元島根では島根県川柳連盟会長など
要職を歴任されつつ、
作風には孤高のたたずまいが感じられる。
そしてとにかく、氏の一句一句への「真剣」に
句集を開くたび、背筋を伸ばし、
カッコイイなあと。
何故だとは言い返せない谷がある
身びいきの長い手紙を読まされる
心ならずも自転車の横倒し
ニンニクの欠片で一人熱くなる
地下街の泳ぐ魚を見て帰る
(『川柳作家全集 金築雨学』 新葉館出版 2009)
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