今日の一句 #673

ダブルスを組むのは奈良の阿修羅はん
中野六助


思わずイェイ!とほころんだ。
奈良の阿修羅はんといえば
ご存じ、興福寺の阿修羅像。
世代を超えて人々を魅了し続ける
美しい三面六臂の国宝は、
作者にとってきっと幼い頃から馴染みがあるのだろう。
それゆえの敬意と親しみを込めての
「阿修羅はん」かと。

いやしかし「ダブルスを組む」とは
夢想としてもなんと不遜?で痛快な・・
いや、夢想ではなく本気か。
あの阿修羅はんが付いてくれていると思うと
人生の、時代の、この荒波も
前向きに乗り切っていけそうだもの。


と、ユーモアたっぷりの本作は、
京都を拠点とする「川柳グループ草原」の
会誌「川柳草原」に掲載された
10月句会の席題「ダブル」の入選句から引く。
共選で森田律子選の秀句にも選ばれている。

(「川柳草原」No.136/川柳グループ草原 2024年11月)

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