くす玉も割れたことだし御開きに
川瀬晶子
くす玉”パカッ”のおめでたさこそ
我らが宴のフィナーレにふさわしい。
そんな、笑いのめしと矜持の一句が晴れやかだ。
されど、くす玉が割れても
一同、なかなか座を去りがたきよう。
「割れたことだし」には、
ではそろそろみなさん、と呼びかけつつ
主催者のさまざまな感慨もにじんでいる。
でも「御開きに」がいいなあ。
じゃあまたと、ここから
それぞれのこれからへ向かっていく。
本作は本年1月発行の
「季刊 現代川柳 かもめ舎」第64号に発表された
主宰・川瀬晶子氏の新作ニ十句「祭りあと」の一句。
そして本号をもって、同誌は休刊となる。
2008年の創刊から16年。
以下、川瀬氏の巻頭言から一部引かせていただくと
「~編集スタッフの杉山昌善さん・近藤良樹さん・
鳥海ゆいさん・福岡理惠さんのご協力を得て、
立ち止まることなく全力で走りきることができました。
厚く感謝申し上げます。」
「私を含めスタッフの高齢化により、
やむなく柳誌としての「かもめ舎」は休刊することにいたしましたが、
私としては16年間やれるだけのことはやってまいりましたので、
今回の休刊という決断に悔いはありません。
むしろ、新たな川柳活動のための第一歩だと捉えております。」
個人的なことになるが、
川瀬氏とはともに時実新子門で、
新子の主宰する「川柳大学」元会員。
川瀬氏は「川柳大学」終刊後、
いち早く、自らの主宰誌を立ち上げられた。
以来、私などが申すのもおこがましいけれど、
自らの、かもめ舎のスタイルを大切に
筋の通った誌面づくりを貫かれたと思う。
そのベースには新子スピリッツもあったかと。
げに、どれだけの方が、この魅力的な雑誌で
川柳を楽しみ、力を磨かれたことだろう。
休刊という一つの完結に、大きな拍手を送りたい。
と同時に「新たな川柳活動」とは。楽しみ。
私の深いところで飛ぶカモメ 晶子
(「季刊 現代川柳 かもめ舎」第64号
現代川柳 かもめ舎 2025年1月)
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