さよならを僕は花水木の下で
岡田俊介
今年1月1日発行の「現代川柳 琳琅」No.190に発表された、
岡田俊介氏の自選七句の最後の句。
七句の前には詞書のように「ー思い出ー」と記されている。
さて「琳琅」誌は本号をもって終刊。
そして、なんということか岡田俊介氏の追悼号ともなった。
岡田氏は昨年11月7日に永眠、86歳。
いまだ、歴史ある同誌の終刊と岡田氏の逝去を惜しむ声が
流派をこえて、あとを絶たない。
岡田氏は片柳哲郎氏が1993年(平成5)7月に創刊した
「現代川柳 新思潮」の編集発行を
2006年(平成18)1月発行の76号より引継ぎ、
同誌は2020年(令和2)、
「現代川柳 琳琅」と誌名を変え、
新たに杉山夕祈氏を編集発行人として継承された。
終刊特集「現代川柳の清流」に寄せられた
その時点ではご健在であった
岡田氏の一文のタイトルは「川柳革新の系譜」。
新思潮の歩みを振り返りながら
「40~50代が中心の新思潮が創刊され、
創刊号には34人の会員名簿が載った。
表紙も入れて24頁。片柳の文章で埋まっていて、
これは個人誌だと思ったものだが、
徐々に体制が整い、執筆陣が充実していった。」
以来、「作家集団」の柳誌として
実力派諸氏が、作品や論を発表し、
川柳史に確かな足跡をのこす新思潮、琳琅。
個人的な思い出としては、
新思潮主催の研修句会に二度ほどお邪魔し、
句会や吟行をご一緒させていただいた。
会は本当に中身濃く楽しく、
岡田氏は言わずもがなの博識でいらっしゃりつつ、
私のような若輩にもユーモアをまじえながら
ざっくばらんに接してくださった。
掲句しみじみと味わえば、
花水木の明るさに包まれて「さよなら」の余韻が
幾重にも広がる。
(「現代川柳 琳琅」No.190 2025年1月)
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