第9回「ゆにゼミ」レポート

発想は自由にどこへでも行ける。
宇宙にも土の中にも、誰かの靴の中にも…。
プロの発想術から濃密な学びを得ました。

4月20日(日)、海外広告クリエイティブの最前線でご活躍中の石井うさぎさんをお迎えし、「広告のことば」をテーマに第9回ゆにゼミを開催しました。

第1部、講演の演題は「発想は自由がいい」。視野を広げ、発想のための視点を見つける方法をたっぷりお話しいただきました。最初のキーワードは「人の気持ちと価値づくり」。職場で同僚にみかんをすすめたところ、全く振り向かなかった人が、「今日のビタミンCだよ」と言い換えたら、喜んで受け取ってもらえたという経験談から「相手の心理に見合った価値へ変換する」発想術を解説。新たな価値を生み出すには、いろいろな観点から自問自答を繰り返すことが大切で、石井さん自身も常に「質問力」を上げる努力をしていらっしゃるそうです。続いて、話題になったCMの映像を次々と映し出しながら、「二択を作る」「その瞬間の真実」「視座を上げる」というキーワードとともに、さまざまな広告の発想法を教えてくださいました。それらは、短詩の創作にもつながる示唆に飛んだ内容で、人の心を動かすプロフェッショナルならではの思考法を学ぶ、中身の濃いひとときでした。

第2部は、石井先生にも見学していただきながらの川柳句会。事前投句の題は今回のテーマにちなんで「伝える」。ゆに会員であり、俳人でもある朝倉晴美さんと、ゆに副代表の西田雅子が、入選句の披講を行いました。今回は、両者の選句が一つもかぶることなく、俳句的な視点と川柳的な視点の違いにも話が広がりました。閉会後は、自由参加によるフリー・トークタイム。入選句以外にも、参加者それぞれが気に入った句を述べ合い、有意義な意見交換ができました。

当日の入選句です。

第9回ゆにゼミ句会【伝える】入選句      2025年4月20日

◆ 朝倉晴美 選
 
入選  
床を抱くマナーモードは三拍子 菊池 京
連絡網の一番下はキティーちゃん 黒川佳津子
語部の語りにひらく白椿 芳賀博子
業務連絡菫野途中下車 北川清子
聞かぬふり固めプリンは人嫌い 山崎夫美子
   
特選
苺ラテやや復調のテレパシー 芳賀博子
 
◆西田雅子 選
 
弟が消えたことだけ言いに行く 重森恒雄
左遷地を伝える夜のカウンター 伊藤良彦
速達の朱文字じいちゃんの筆跡 朝倉晴美
西のそら狼煙が上がる帰ってこい 森平洋子
清く正しくつまらないACジャパン 峯島 妙
   
特選
両腕で大きな丸だ合格だ 小原由佳
 
(まとめ/ゆに編集委員 森平洋子)