夢もまた真実なりと冬かもめ
杉山夕祈
「夢」は多義ゆえ、
夢をどうとらえるかで作品の意味も変容する。
作中の夢は、たとえば
昨夜の眠りにみたもの、
あるいは、幻、迷い、理想、願望。
「真実なりと」に続く動詞も略されて
読み手にゆだねられていて、
真実なりと、気付いたのか、
自身に言い聞かせているのか。
はて、と私もまた、
冬カモメ飛びかう空をながめながら
さまざまな想像の過るままにたたずめば、
つと「夢もまた真実なり」が
リクツをこえて腑に落ちた。
体温をもったフレーズとして。
掲句は、杉山夕祈さんの句集『冬のソフィア』より引く。
文学の香り馥郁と、
一句一句が屹立しつつ重層的に響き合う。
白銀の木々ことごとく亡命者
かりそめの橋を渡って花散らす
母の磁場拡がり青き水となる
傷口のまだ新しき蛇いちご
体から蝶の出てゆく黄昏期
(句集『冬のソフィア』 杉山夕祈
新葉館出版 2024年)
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