Vol. 8 日 傘

 少し前までは、涼やかで優雅なイメージもあり、日傘を差すのが好きだったが、日傘1本が荷物になることと、ここ数年、立て続けにお気に入りの日傘を2本置き忘れたりで、できるだけ持ち歩かないようになった。

 傘はもともと雨を防ぐための道具ではなく、古代エジプトやオリエントでは、「権力を象徴する道具」としての役割を担っていた。また、日差しの強い地域だったので、雨よりも日除けの道具として使われることが多かったとか。従者に傘を持たせて日除けをしている姿は、権力の象徴。傘にはさまざまな装飾が施されていて、かなり重く、閉じる機能はなかったらしい。
 
 日本では、日本書紀に登場するが、ここでもやはり朝廷への貢ぎ物=権力を象徴する道具とされていた。雨具としては江戸時代になってから。西洋でも日本でも、女性のアクセサリーとして女性がもつイメージがある。
 
 ところで「傘」の字の中の4人の「人」は何? 諸説あって、雨だれとか、傘の布のシワとか、布を支えている骨の組み方の見た目とか、いずれにしても「人」を表しているのではなく、模様を表しているらしい。
 
 日傘は、ソーシャルディスタンスを保つことができるとしても注目度アップ。メンズ用の日傘も登場。が、街中で日傘を差している男性を、私はまだ見かけたことがないけれど。

  いいことのありや日傘で肩叩く 嶋澤喜八郎