家にいることが多くなったこの1年。窓の外、船が一日に数回埠頭を発着する様子をぼんやり眺めている。貨物船なのか、ブルーのラインが入った白い船体は、いかにも気持ちよさそうに沖へ出てゆく。その向こうには水平線が広がっているはず。水平線は空と海をバランスよく仕切っていて、線の中では最もゆるぎない線だと思う。
水平線までの距離ってどのくらいなのだろう。目の高さがわかれば、比較的簡単に計算できるらしい。といっても、けっこう複雑な数式。結果からいうと、海岸から水平線を眺める場合、およそ目の高さが1.5mとすると、水平線までの距離は約4.37㎞。目の高さが1.7mならば4.65㎞。
一方、ぐっと近くに水平線を見た人もいる。俳句「陽炎や母といふ字に水平線 鳥居真理子」。母の字の最後の画にゆるぎのない水平線。
暇なので水平線にぶらさがる 石橋芳山