人間でなければいいが夜の鋸 大友逸星
夜、何気なくテレビをつけたら
時節柄の怪談もの。
うーん、今ちょっとそういう気分では。
と、チャンネルを変えようとしたら
こんな句を思い出した。
う、テレビより怖い。
けれどニヤリともさせられるのは
この際どさ。
そして五七五が、つい可笑しみを生む
リズムでもあるからだろう。
ところで掲句といえば
ある柳誌に、作者自身が
次のようなエピソードを記している。
何年か前、隣家から聞こえてきた音を捉えて
一句作ったが、四、五日して
九州で美容師のバラバラ殺人事件が起きて
驚かされた、と。
作者は1924年(大正13)仙台市生まれ。
2011年(平成23)逝去。
『大友逸星遺句集 逸』(川柳杜人社)には
辞世の句が収載されている。
川柳の尻尾に掴まりながらどぼん
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