今日の一句 #774

真夜中の熱いお茶からだの隙間
広瀬ちえみ


ふぅーーーっ。
沁みる、沁みわたる。
この感覚を、本作を読みながらわが身でとらえなおした。


単に「からだ」ではなく、「からだの隙間」。
そういわれてみると、からだの隙間は存外広い。
そして隙間もまた、大切なからだの一部なのだ。


そんな風に感じられるのも、

真夜中の静けさに包まれているからだろう。

ちなみに私はほうじ茶を選んだ。
香りも湯気も、隙間へすうっと。


出典は10月20日発行の「垂人」終刊号。
編集・発行を、俳人の中西ひろ美さんと、

川柳作家の広瀬ちえみさんが担い、
50号をもって完結した。


中西ひろ美さんは編集後記で、
2001年4月に牧冬流さんやお仲間とともに発行した
「風谷・飛沓社」一号から続く流れを振り返り、
「それから二十五年後の二〇二六年にこうして無事に
最終号を作れたことに心から安堵しております」


広瀬ちえみさんは
、
「私は本を作ることを心底楽しんできた。
誰もわからないだろう余白の1ミリにもほんとはこだわってきた。
それなのに完璧な本を作ったことがない(笑)」
「ほんとにみなさんありがとう! ほんとに楽しかった」


短詩や連句が自在に行き交う「垂人」は、
一読者の私にとっても「ほんとに楽しかった」です。


終刊号掲載作品から。


 なんべん見ても富士山はふしぎのふ  髙橋かづき
 指揮者出て来るのを待つ間や天の川  川村研治
 社長兼工場長のギター弾く      野口 裕
 寒林に来て(中略)ついに寒林を出る  中内火星
 五十個のタルトを並べ今宵月     広瀬ちえみ
 星に似た花と祈りに似た願い     中西ひろ美


(「垂人」50(終刊号) 2026年10月) 

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