真夜中の熱いお茶からだの隙間
広瀬ちえみ
ふぅーーーっ。
沁みる、沁みわたる。
この感覚を、本作を読みながらわが身でとらえなおした。
単に「からだ」ではなく、「からだの隙間」。
そういわれてみると、からだの隙間は存外広い。
そして隙間もまた、大切なからだの一部なのだ。
そんな風に感じられるのも、
真夜中の静けさに包まれているからだろう。
ちなみに私はほうじ茶を選んだ。
香りも湯気も、隙間へすうっと。
出典は10月20日発行の「垂人」終刊号。
編集・発行を、俳人の中西ひろ美さんと、
川柳作家の広瀬ちえみさんが担い、
50号をもって完結した。
中西ひろ美さんは編集後記で、
2001年4月に牧冬流さんやお仲間とともに発行した
「風谷・飛沓社」一号から続く流れを振り返り、
「それから二十五年後の二〇二六年にこうして無事に
最終号を作れたことに心から安堵しております」
広瀬ちえみさんは、
「私は本を作ることを心底楽しんできた。
誰もわからないだろう余白の1ミリにもほんとはこだわってきた。
それなのに完璧な本を作ったことがない(笑)」
「ほんとにみなさんありがとう! ほんとに楽しかった」
短詩や連句が自在に行き交う「垂人」は、
一読者の私にとっても「ほんとに楽しかった」です。
終刊号掲載作品から。
なんべん見ても富士山はふしぎのふ 髙橋かづき
指揮者出て来るのを待つ間や天の川 川村研治
社長兼工場長のギター弾く 野口 裕
寒林に来て(中略)ついに寒林を出る 中内火星
五十個のタルトを並べ今宵月 広瀬ちえみ
星に似た花と祈りに似た願い 中西ひろ美
(「垂人」50(終刊号) 2026年10月)
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