数学の先生だけが滑る廊下
真島 芽
先生、また滑った。
その瞬間、主人公のココロはどう反応したのかな。
「お気の毒」なのか、
「ちょっといい気味」なのか。
あるいはこの校内の怪現象を
ただ単純に面白がり不思議がっているだけかも。
下六の間延び、続いていく感じは、
長い廊下や、思春期のかったるさも
物語っているよう。
そういえば、こんな廊下がわが母校にもあった。
いや、なかったけど、
あったあった、って懐かしい。
作者は現在高校1年生で、
出典は先ごろ発行された「川柳の話」第3号。
姉の高校3年生、真島凉さんとともに
連作を発表している。
グランドにまだ青春と呼べるもの 真島 凉
本誌は一昨年、発行人・月波与生さん、
編集人・真島久美子さんの二人柳誌としてスタート。
年1回発行で、多彩なゲスト執筆陣の
作品や論やエッセーで構成され、
第3号の特集は「細川不凍を読む」。
自選五十句にはじまり、新たにさまざまな角度から
「細川不凍」にスポットが当てられている。
褒めたもの叩き落として姉になる 真島久美子
理不尽を笑って食べている家族
名画座は海が生まれる街にある 月波与生
放蝶やみないさましく倒叙せよ
ちなみに、以前にもふれましたが
真島凉さん、芽さんは、真島久美子さんの姪御さんで、
ゲスト作家ながら創刊号より作品とエッセーを寄稿。
久美子さんからの
「今の自分の等身大の句を飾らずに作って」という
難題に毎年向き合っておられるもよう。
その一年一年の作品を味わえるのも
本誌のお楽しみのひとつ。
(「川柳の話」第3号 2022年7月)
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