地図だったはずの言葉が遁走
西山奈津実
あら、大変。
人生の歩みを導いてくれた言葉が
突如遁走するなんて。
って、どゆこと?
思うに、心の支えや指標としてきた箴言が
ふと空疎に、脱け殻のように感じられたとか。
はたまた、迷ったときにいつも素敵な言葉をくれた
人物その人が遁走してしまったとか。
はてさてこれからどうする?
とまれ大胆な省略や
下五が四音でぷつっと途切れているのが
ただならぬ感を増幅させている。
なのに「言葉の遁走」が、どこか痛快でもあって。
今日の一句の出典は、
北海道を拠点とする柳誌「水脈」の最新号。
絵を題としたイメージ吟の入選句だけれど、
句そのものが題から遁走していくような勢いがある。
作者の西山奈津実さんは「水脈」の同人、
そしてゆに会員でもあり、会員作品はこちらからどうぞ。
(「水脈」第63号 川柳グループ 水脈/2023年4月)
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