炎の色が好きか嫌いかで分ける
𠮷田州花
好きか嫌いか。
どうだろう。
考えたこともなかった。
その前に作者はどちらだろう。
その前にまず「炎」という字の読み方だ。
漢字辞典の訓読みでは、ほのお、ほむら。
音読みでは、えん。
もっとも、小説や詩歌では多彩なルビで登場し、
たとえば
炎(ひ)の影、炎(ほ)の揺らぎ、
炎(も)える、炎(もや)す、炎(や)ける。
つまり「火」や「燃」では表現できない何かを
「炎」の一字は孕んでいるのだろう。
さて、もし披講するとしたら
音数的には「炎(ひ)の色が」がキマる感じ。
けれど聞く側であれば
「ほのお」や「ほむら」の方が迫力は増しそうだし
ニュアンスも変化する。
ではその色とは?
赤、赫、朱、橙、黄・・
こちらも読み手に委ねられている。
と句を見つめていてふと、
その奥に立ちのぼっている炎に気づいた。
それはひそやかな情熱の? 怒りの?
そしてそれは作者の? 私の? はたまた。
(『青森縣川柳年鑑 ねぶた』2023年(第4集)
青森県川柳連盟 2023年)
過去ログはこちらから▶