「ゆめ」の語源は「寝目(いね)」。「寝(い)」は睡眠。「目」は見えるもの。平安時代頃から「ゆめ」に転じ、「儚さ」などの意味で比喩的に用いられるようになる。
「夢」とはもともと、「暗い」「よく見えない」という意味を表す漢字。私たちが現在使っている「眠っている時に見るゆめ」という意味は、あとから付け加えられた意味。
「夢」の中には「夕」という字が含まれている。「夕」は「夕方」「夕べ」の「夕」で、「暗い」とか「よく見えない」という意味と通じる。つまり、「夢」という漢字の中で、キーワードは「夕」。なので「夢」の字の部首は「くさかんむり」でなく、「夕」とされている。
「夢」の字の成り立ちには諸説あるが、その一つ。夕暮れ(夕の部分)に草むら(草冠の部分)からものを見ている(目の部分)様子を表したもの。夕暮れ時に草むらからものを見ているとぼんやりするので、そうした「ぼんやりとしてはっきりしない様」を夢というように。
「夢」が「将来の希望」の意味として使われ出したのは近代以降である。
お湯割りの夢です 傷心にどうぞ 清水すみれ