今日の一句 #680

くす玉も割れたことだし御開きに
川瀬晶子


くす玉”パカッ”のおめでたさこそ
我らが宴のフィナーレにふさわしい。
そんな、笑いのめしと矜持の一句が晴れやかだ。


されど、くす玉が割れても
一同、なかなか座を去りがたきよう。
「割れたことだし」には、
ではそろそろみなさん、と呼びかけつつ
主催者のさまざまな感慨もにじんでいる。

でも「御開きに」がいいなあ。
じゃあまたと、ここから
それぞれのこれからへ向かっていく。


本作は本年1月発行の
「季刊 現代川柳 かもめ舎」第64号に発表された
主宰・川瀬晶子氏の新作ニ十句「祭りあと」の一句。
そして本号をもって、同誌は休刊となる。
2008年の創刊から16年。
以下、川瀬氏の巻頭言から一部引かせていただくと
「~編集スタッフの杉山昌善さん・近藤良樹さん・
 鳥海ゆいさん・福岡理惠さんのご協力を得て、
 立ち止まることなく全力で走りきることができました。
 厚く感謝申し上げます。」
「私を含めスタッフの高齢化により、
 やむなく柳誌としての「かもめ舎」は休刊することにいたしましたが、
 私としては16年間やれるだけのことはやってまいりましたので、
 今回の休刊という決断に悔いはありません。
 むしろ、新たな川柳活動のための第一歩だと捉えております。」


個人的なことになるが、
川瀬氏とはともに時実新子門で、
新子の主宰する「川柳大学」元会員。
川瀬氏は「川柳大学」終刊後、

いち早く、自らの主宰誌を立ち上げられた。
以来、私などが申すのもおこがましいけれど、
自らの、かもめ舎のスタイルを大切に
筋の通った誌面づくりを貫かれたと思う。

そのベースには新子スピリッツもあったかと。
げに、どれだけの方が、この魅力的な雑誌で
川柳を楽しみ、力を磨かれたことだろう。
休刊という一つの完結に、大きな拍手を送りたい。
と同時に「新たな川柳活動」とは。楽しみ。


 私の深いところで飛ぶカモメ  晶子


(「季刊 現代川柳 かもめ舎」第64号

  現代川柳 かもめ舎 2025年1月)

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