2025年4月

春を呼ぶタルタルソース黄身多め
華燭には正絹の威厳も鎮座
用件をまとめてみればル・コルビュジエ

四ツ屋いずみ

母さんを思えば 白い八甲田
父さんと呼べばタンポポ青い空
愛されて佇つ 春雪に囲まれて

吾亦紅

すかんぽやボーイズラブのその行方
C難度旋回春のたましいは
ハモニカの端っこにある『小さいお家』

阿川マサコ

春が来てしまった冬眠してる間に
捨てました消費期限の切れた夢
偉大なる凡人めざし突き進む

浅井ゆず

春霖に絵葉書昔住んだ人
カーサンは失恋恋する息子たち
爺に恋朝のバス停五分間

朝倉晴美

昨日からクスクスしてるネックレス
なだめたりおどしたりしてくるピアス
桜ラテ スマホカバーの傷打撲

石野りこ

ドロップの缶に閉じ込めてる夕日
水たまり親孝行がしたかった
小望月あしたはあると信じてる

伊藤聖子

期末日の汗は冷や汗だったのか
しっかりと見ていた僕も見られてる
ありがとう私を褒める歯医者さん

伊藤良彦

寺守の箒が掃いた円に座す
病窓の外はCGかもしれぬ
マシュマロのキャッチボールが終わらない

稲葉良岩

月走るトートバッグを凹ませて
どこまでも貨車で納豆すする音
文字列をつっつく春のしごとです

岩田多佳子

騒がしき地上に桜足踏みし
寒暖の風に揺れてるお約束
現状維持は魔法の言葉いつだって

海野エリー

卒アルをパタン!やっぱ、好きなのか
バス停に降り立っていたの春でした
その指はすみれを触ったすみれ指

おおさわほてる

うたた寝のくぼみに夢の駅がある
右脳でも左脳でもなくラタトゥイユ
地動説もろとも蕪をすり下ろす

大竹明日香

米印付けお米値上げの知らせくる
ミャクミャクの開園5分前の鬱
正解はこっちと向きを変えられる

小原由佳

花の名一つ覚えて旅に出る
再会を誓ってくれた花切手
大根の花にも旬があるように

笠嶋恵美子

みち草の足跡さがす紙の地図
プライドを纏った月が追ってくる
更新をしておく分身の術

桂 晶月

神様の袖口洗うウタマロで
ネモフィラの海に一艘浮かべたり
ハイホーハイホー雲を解いているお婆

川田由紀子

紐は緩めで春は温めで目を覚ます
一人かけ二人かけして桜咲く
二つ目の月が点滅するのです

河村啓子

ペット可の物件がないユートピア
トーフ切る車線変更など知らず
花吹雪しばし私は斬られ役

菊池 京

左手に二本の毛糸針一本
晴れてても雨が降っても輪編みです
そこんとこ二目ゴム編み止めにせよ

北川清子

ライバルの多弁な指の五カラット
折り紙の指輪を貰う誕生日
馬跳びで悩んだ今日を跳び越える

黒川佳津子

跳ぶ白狐夢の出口を間違える
雛納め指を離れてもう他人
ゼピュロスの春の息吹をふふむ頬

黒田弥生

住所不定へ花束を辞退して
厸厸厸ペプシ厸厸厸ヘプシ
愛想を引いて街ゆくものまぶし

河野潤々

戦場へ虹のおおきなワカンムリ
カナリヤの家は心の南側
前屈のファスナーは解き放たれた

斉尾くにこ

如月の夜に震えているスマホ
黒い羽根だけを残して朝の月
寒い広場でボール蹴り合っている

重森恒雄

その噂風船ガムで膨らます
疼きとや記憶の彼方 爪を切る
非通知の電話が疼く月曜日

杉山昌善

演劇部所属パズルピースの嵌まる音
前日は何でもない日母が逝く
戦争の写真にキティちゃんのぬいぐるみ

須藤しんのすけ

阿呆としか言いようがない商品券
鶯初音 トランプの虚言症
山火事は鎮火兵庫の小火続く

田尾八女

消尽の足跡をたどれば桜
撃たれても唄いつづける死者 雨天
きずだらけのうたですきみもわたしもきょうも

たかすかまさゆき

時代から取り残されそうで 並ぶ
とても次の満月までは待てません
予告なく搭乗口が変わる黄泉

浪越靖政

明日めく言葉あつめて冬のまま
駅員が旗振り夕陽落ちてゆく
焼きマシュマロふっと枯野の匂いする

西田雅子

蒟蒻もどこでもドアも低カロリー
ペンギンの貯金箱からのぞくペンギン
カステラの断面よりも綺麗な嘘

西山奈津実

春のみずうみ おなじ舟に乗れない
逆光のセーターから春が洩れる
つぎ、春です ミラーボールが光ります

温水ふみ

花の雨プログラミングミス連鎖
先生のグラスの氷山と海と
土地勘はおぼろげながら春袷

芳賀博子

大団円だったお前さえいれば
天使になっても逆立ちは忘れない
諦念に仕込むきれいな宙返り

橋元デジタル

思慮深さ蹴とばし無為の誕生日
皺くちゃの手を眺めつつ嘘がない
クリスマスローズ大地に額付くよ

林 操

その角で刺されて花が投げてある
借りた金返さず天に持ってゆく
信号は変わるあなたは同じまま

飛伝応

急患へ地雷を踏んだらしい夜
身の丈に合わないことを懸命に
いい気分ですかヒエラルキーの上

平尾正人

旧姓で呼ぶ声 木造の校舎
3月の光をキャッチ川の道
励ましの電話あり川柳のご縁

弘津秋の子

くしゃくしゃなくしゃみくるぶしまでくしゅん
フランクな人の粘膜見てしまう
五分後もエチュードだろう霧だろう

藤田めぐみ

銀行が銀行員の舌に載る
年金を貰い続けているミイラ
フルセットあちらはハグが照れくさい

藤山竜骨

オカメインコ仕草全てがいと可愛
オカメインコ部屋中舞って糞だらけ
頭に載ったオカメインコに妻笑顔

堀本のりひろ

良い出汁が出ている雨の交差点
じゅぶじゅぶと虹を潜ってきたゴメン
三月の光を蛇の舌先に

真島久美子

春までに15センチのピンヒール
甲高いポリエチレンのような咳
すっぴんの仕舞い忘れた雛人形

峯島 妙

給湯器無かった頃の春生まれ
テーブルの上にはオリーブの小枝
野鳥のさえずり反抗期をくるり

宮井いずみ

亡母のリングぴったりはまる薬指
三つ編みと白いリボンと遠足日
キッチンで結婚指輪計ってみる

村田もとこ

月満ちる部屋はだれかの部屋になる
どのくらい離れればきれいに見える?
おばけだよ見つけてくれてありがとう

本海万里絵

こんなとき空飛びたくてプロテイン
やわらかい綿毛になろうもう一度
風待ちの港にとどく相聞歌

森平洋子

ぽかぽかの太陽に又騙される
どこをどう間違えたのか分らない
逃げ伸びたカラスはとても嬉しそう

森 廣子

水玉の水が重くて自爆する
付着した悪意を洗う春の宵
完璧を捨てる板チョコ割るように

山崎夫美子

ジーパンとスニーカーこそ我がお洒落
帽子から靴下までが皆ブルー
いいですと言われその気になる男

吉田利秋

会員作品を読む 2025年4月 山崎夫美子

第45回会員作品から

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