Vol. 229 会う

「会う」は、人と人、あるいは物と物がひとつになる・調和するといった意味をもつ「合う」と同源とされる。

「会う・合う(あう)」を発音の面から見ると、「あ」と開いた口を「う」とすぼめるとき、唇が接近していく。この口の動きが、離れていたものが近づく動作を象徴しており、人が人に近づく「会う」という様を表しているといわれる。

また、漢字の「会」は旧字で「會」と書き、もとは蓋のある鍋の形を表す象形文字。鍋の中にさまざまなものを集めて煮る様子から、「あつまる」「あつめる」「あう」という意味が生まれた。また「会」は、米などを蒸すための土器(こしき)に蓋をした形を表す象形文字でもあり、土器と蓋がぴたりと合うことから「会」という字が成立したともいう。

つまり、「会う」という言葉は、発音の動きと文字の形のいずれから見ても、二つのものがぴたりと一致し、近づくさまを示している。さらに、「会う」の語源は「二肖経(フタアエフ)」の省略形とされ、もともと二つのものが一致する、または出会うという意味合いを持っていたと考えられている。

 明日は晴れ 今宵高円寺で会おう  徳道かづみ