おことわり支配するとかされるとか
浮 千草
仕立てがおもしろい。
セールス、勧誘おことわり、
といった張り紙やステッカーの圧がありつつ
「するとか」「されるとか」
とちょっとした言いまわしの匙加減に
ユーモアがある。
さても支配するのもされるのも危うい。
人間とは限らない。
組織だったり、時代の空気だったり。
そして支配する側にもされる側にも
我知らず与してしまっていることがある。
そんなことを気付かされる一句。
出典は、広瀬ちえみさんが編集発行人を務める
「What’s」Vol.9(2025年10月)。
以下、招待作家の樋口由紀子さんと会員諸氏の作品より。
はなびらはしろくあかるくろくでなし 樋口由紀子
やや文化 紅葉をほどくまで川 兵頭全郎
来年の運勢かじる瑞々し 竹井紫乙
落雁の口に溶けゆく晩夏光 川村研治
暁の隅に小さく突破口 佐渡真紀子
おこりんぼだったんだねと笑う窓 水本石華
雨だれはいつも優雅に犀を飼う 妹尾 凛
象が歩いて地球は丸くなる 中内火星
うろうろと大風呂敷を出られない 松永千秋
深夜バスで行く竜宮城跡地 月波与生
からっぽになってでてゆく原稿用紙 加藤久子
満月が突然割れて羽化をした 叶 裕
追い越してしまえば風は味方です 鈴木節子
否定からときどき入る吾亦紅 いなだ豆乃助
空のはて地のはて絵の具のありったけ 佐藤みさ子
いつだって雲を自由にさせる富士 高橋かづき
いい話持ってきたのに留守の秋 広瀬ちえみ
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