見送っていたのに見送られている
恋愛とレモン程よい間柄
悪意より怖い好意も愛情も
平尾正人
冬河原鴨の親子の話し合い
午前三時暖房消えし夢消えし
わすれんぼ体重だけが増えており
弘津秋の子
補聴器はむかしむかしを拾いだす
げんこつがゆっくり開く勝ちました
馬の目に映る未来をいただこう
藤山竜骨
めざすのは働きづめの丙午
出会えたらきっと匂いでわかるはず
うれしいもかなしいもある福笑い
峯島 妙
ドバトでもたまに寿三番叟
絵空事きらめく文楽の悲恋
光輪は消えた帰りに牛乳を
宮井いずみ
何度でも何度でも送るよ届け
いろいろと願うけどすこやかであれ
晴れてるしあえておぼれにいくタイプ
本海万里絵
諦観を持ち上げている霜柱
ひざかけの時間泥棒余罪あり
薄い雪うさぎはうまく笑えない
森平洋子
大きい眼馬のまつ毛が濡れている
抱かれて眠る赤子も初詣
存分に咲いたと椿ハラリ散る
森 廣子
雪しばし天空率を無に帰して
離すまで椿の首は首でなく
視界から外すオブジェの錆びた鶴
山崎夫美子
あながちを犬も食わない砂漠より
瘤にされ火事のひもとは口固く
別人の有終の美という抱負
山本絲人
賀状見てたくさん届く問合せ
質問に書いた通りでございます
私は嘘の嫌いなむのたけじ
吉田利秋
艶やかに位置についてた餅たちも
土曜日用の吸湿発熱毛布
このことか灰の中のダイヤモンド
四ツ屋いずみ
バイオリズムいつも二月は悪くなる
スカーフも愛も未だに結べない
捨てる物なにも無くなりいのちあり
渡辺かおる
ほのほのと枯葉も土も輪の中に
不自由を千六本にして冬日
難題を灯して群れる雪蛍
吾亦紅
バラ一本買ってひとりの誕生日
晩年のプランAからZまで
立春の氷 未決が続いてる
浅井ゆず
三月やそこ管理してよ管理職
退勤後最終こだまワイン抜く
立駐の深夜の秘密ザッハトルテ
朝倉晴美
うすっぺらい卵サンドと冬の海
ヒトリゴト「都をどりはヨーイヤサー」
ルビー色のビール試している窓辺
石野りこ
正月は雪と闘う決意式
夜ふかしが今年も出来ぬ大晦日
潔く帰省ラッシュを楽しもう
伊藤良彦
輪を抜けてやっと無音の領収書
夕焼けが空を撫でては帰らせぬ
オレの背に白が静かにロックオン
稲葉良岩
タンザナイトのナイトあたりは雨ですね
産みました巨きなたまご瀬戸際に
にんじんは口答えして人参に
岩田多佳子
好きな曲で温めてゆく長い夜
斜めから言うなよ愛の言葉なら
抽斗にやりたいことの箇条書き
海野エリー
白菜に足元つかまれぼくが泣く
初氷きのうのぼくが落ちていた
手袋はバルタン星人似合わない
おおさわほてる
クレヨンがつぎつぎ芽吹く冬の庭
メルヘンの国の庭師がおすすめよ
眠そうな国境線の水の音
大竹明日香
できるだけ毛深い招き猫選ぶ
クロークにウツボカズラを取りにいく
前髪は煌めいている湿度です
小沢 史
二月の寒波方向性は合っている
その先の楽譜はみんなご自由に
花の整列あれも躾であったのか
小原由佳
まだ胸に刺さったままの薔薇の棘
馬の背を越えたか鶴が舞っている
古文書の欠けたとこから日が昇る
笠嶋恵美子
例え話に忍ばせる起爆剤
決壊の前に重ねておく指紋
常識を閉じて螺旋になってゆく
桂 晶月
次次と老人やって来る岬
海老芋も煮崩れひとり大笑い
乱切りに変えて歩幅が広くなる
川田由紀子
先生の馬は伏目でうつむいて
鍵盤の上で野菜を揚げている
軍艦の足の小指を揉んでいる
河村啓子
遠くまで行きなよずっと遠くまで
きみに見えているものを見てみたいな
圧力鍋買いました父の愛
寒雷
途中下車された栞の悪巧み
投了の一歩手前にある輪ゴム
雪原野虹を映してみたくなる
菊池 京
にこにこと皆んなくるくる生誕祭
ご一緒にいかがですかと2個と2個
卵ならニコちゃん印いただきます
北川清子
ロゼワイン一杯分の愚痴の色
角ひとつ曲がり損ねたまま二月
何色に咲こう冬日のヒヤシンス
黒川佳津子
繊月が二月の眼球を辷る
湖が目覚む白鳥より先に
落椿ほどの体温にて眠る
黒田弥生
くだら野やお布施を値切るネタニアフ
座敷童子がジェンダー論か 縮む
重い腰たまに脚気の検査など
河野潤々
アクリルの翼で想像の余地へ
ファンタスティック出合い頭の詐欺電話
信号は赤お財布はそっちのけ
斉尾くにこ
一月にさかのぼるバカの数々
いくらでも雪が降る市民病院
更地になった竹藪に雪積もる
重森恒雄
動物を動物じゃなくする鋏
あなたには空のあわいを飴にして
光る粒子街はすき間を埋めていく
下野みかも
缶切りでいつかおまえをあけてやる
雑踏で暗躍してる崩し文字
こし餡はもう上品ではいられない
芝岡かんえもん
端っこの席が空いてる待ち日和
哭いているフルート最後の大会
断捨離であの日を拾う園だより
島貫麻衣子
ほどほどの愛され方や椿落つ
花言葉 足し算にして試歩の庭
無精髭 真面目な父に似ぬように
杉山昌善
てのひらにのせると笑いだす落ち葉
泣きながら追いかけてくる霜の声
霜の花贈りますまだ消えぬよう
たかすかまさゆき
じいちゃんは値引きシールを背に貼って
ランダムに一人二人と呼ばれてく
うっかりとエンドロールに乗り遅れ
浪越靖政
冬へ真冬へアップデート完了
花柄のマフラーに溺れてる首
咳き込んで星のひとつは粉々に
西田雅子
同封するには土星の輪は邪魔ね
尖った針の優しさは深く刺すこと
拡販して月を嬉しい顔にする
西山奈津実
冠を選べぬ国の家族感
まつパした馬が家父長制を蹴る
奥義だよ比喩だから火にもなれるの
温水ふみ
春の雪ひとふでがきの旗印
福豆の残りに磯の香りして
フラッシュバック 椿 フラッシュバック 駅
芳賀博子
世界地図眺め私の仕舞い方
場違いな冬のたんぽぽ好きになる
何もせず悪魔の函とたそがれる
林 操
でどころは古事記かファミリーヒストリー
政変を笑顔で演出してくれる
断捨離にようこそ10年日記さま
飛伝応

