今日の一句 #750

無難な鼻です高からず高からず
鈴木節子


むふっ。
こんな下五のハネ方がある。
「無難な」の一語も、よくぞ見つけられたりで、
なんとも愛嬌のある鼻であり、句である。


出典は、発行ほやほやの
鈴木節子さんの句集『無重力圏』。
ページをめくるたびに共笑いしたり、ほっと息をついたり。
さらに、思わず誰かに教えたくなるような
おもしろい句がたくさん収録されている。


 身籠もってしまった核をどうしよう
 処世術も器量も猫に負けている
 菜の花や西に東にお弔い
 こわいのは決して沸騰しない水
 風呂上がり蹄のような爪を剪る


そして
 無重力圏を浮遊中 卒寿


あとがきによれば、
人生の折り返し点あたりで川柳と出合ったとのこと。
現在「What’s」会員。


齢重ねゆく日常発の句は、
ユーモアや茶目っ気をたたえつつ、
反骨、ペーソスがふっとやわらかな影となり
生きることの深みがのぞく。


なにより、
「川柳っておもしろい」
その気持ちがいきいきと伝わってきて、
ほんにそう、と頷きながら元気のもらえる句集。


(句集『無重力圏』 鈴木節子/私家版 2026)

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