引き出しの奥から、一枚のハンカチが出てきた。グリーンのタオル地のハンカチ。私が初めて母にプレゼントした色違いのピンクを、母が持っている。タオル地なので、アイロンをかけなくてもいいねと、母が喜んでいた。
ハンカチの起源は、紀元前3000年頃のエジプト文明の頃、飾りのほどこされた麻製の布が発掘され、身分の高い人物の持ち物であったらしい。
ハンカチはほとんど正方形だが、なぜ?。18世紀に、フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットが、当時、三角形や長方形など様々な形のハンカチがあるのを面倒に思っていたため、国王が「ハンカチのサイズは縦横同一たるべし」との法令を布告。マリー・アントワネットは宮廷のファッションリーダー的存在で、貴族の間では刺繍や飾りなどで贅を競う持ち物だったようだ。
明治時代に日本も徐々に洋装化が進み、手ぬぐいからハンカチへと移っていった。最初の頃は、貴重で高級品だったため、庶民は持つことができなかったが、時代とともに、庶民もハンカチを持つようになった。
小さな布のハンカチだが、誰にでも思い出のハンカチが、1枚はあるはず。
それからを拭くハンカチのやわらかさ 高橋レニ