Vol. 47 闇

 明るく眩しいこれからの季節に、「五月闇」「青葉闇」「木下闇」等、闇に関係する季節のことばがある。

 「闇」の字をよく見ると、門構えの中に「音」の字が。門に光が閉ざされるという意味で「光」ならわかるが、「音」は闇とは関係なさそうなのになぜ。

 「闇」の音読みはアン、「音」の音読みはオン・イン。「闇」の場合、「音」は発音を表す部分。古代中国読みなので、現在の私たちの音読みとはちがう。

 「音」を含む字はほかに「暗」や、書いたものを見ないで読み上げる意味の「諳んじる」の「諳」がある。どちらも「視覚によらない」という意味があり、「闇」は、門を閉じて光が入らない状態、つまり視覚が効かない状態を表している。

 また、闇の読み「やみ」の語源は、「止み」ではないかといわれる。光の止んだ状態、止んだところが「やみ」。

  わたくしの通ったあとのすごい闇  定金冬二