貝塚を掘れば時実新子論
川合大祐
今日の一句は、先月発行の
『トイレの後は電気を消して』より引く。
本書は川合大祐さん、千春さんの共著で、
ともに川柳作家で人生のパートナーでもあるお二人の、
2021年6月から2022年6月までを記録した
交換日記風川柳&エッセイ集。
その中に、こんなくだりがある、
「大祐より」として
「二人で興味が一致したのは川柳のことで、
夕食(僕の作ったカレー)後から風呂の中まで、
ずっと時実新子のことを話していた。
「新子さんすげえ」で片付けちゃえば
片付いてしまうことなんだけど、
新子さんを(なんか親しそうに語ってるけど
僕らは二人とも会ったことはない)
どのように受容・批判・発展させてくかが
現代川柳の鍵かなと思う。」
確かに。
と、時実新子門の一人としてうれしく、
また一川柳人としてもうなずく。
1987年発行の句集『有夫恋』が
異例のベストセラーになり、
情念を鮮烈に詠んだ作品で
川柳界に新しい扉を開いた
時実新子は今年、没後15年を迎えた。
新子句を読むこともさることながら、
現代川柳史の中で、
作品がどう読まれ、論じられてきたのかを
検証していくのも大切と思う。
貝塚は、これからへつながる史跡でもある。
さて、本書は
川合大祐さん、千春さんの
愛と川柳にあふれた日々がユーモラスにつづられる一方、
それぞれの視点でとらえられた現代川柳の「今」が、
新鮮で興味深い。
(『トイレの後は電気を消して』 川合大祐・千春/満天の星 2022)
☆「時実新子」について、くわしくはこちらをどうぞ。
オフィシャルウェブサイト「時実新子の川柳大学」
サイト内のアーカイブページでは
リンク先のNHKアーカイブスで
時実新子の映像もご覧いただけます。
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