今日の一句 #587

太陽の塔を脱いでるところだな
湊 圭伍


太陽の塔。
1970年という高度経済成長期に開催された大阪万博のシンボルは
半世紀を超えた今も、
さまざまなもののアイコンとしてそびえたっている。
いや、生きている。


そんな太陽の塔を脱いでる、って。
はて、中の何ものが?

ちょっと疲れてしまった?
と、いろんな読み解きが楽しめる一句だけれど、
私は太陽の塔そのものの脱皮を想像して
とても愉快な気分になった。


岡本太郎、さらにはあらゆる芸術家の情熱を体現しているような
生命体は、脱ぎ捨てることを恐れない。
それがどんなに自分を堅牢に守ってくれている殻だって。
だから、いつも今も、新しい・・なんて。


「脱いでるところ」を目にした主人公も、
きっと脱ぎたくなっているはずだ。
そして私もね。

今日の春風にも後押しされて。

(「川柳スパイラル」第17号 2023年3月)


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