Vol. 101 ハサミ

 実家の片づけで多く出てきたのが、ハサミ。布用、紙用、段ボール用等、10個以上。けれど、よく使っていたのは、ほんの1、2個だったような。というわが家も、ちょっと数えただけでも5つ。ハサミはいつのまにか増えていくものなのか。

 ハサミの形状は大きくU字型(握り鋏)とX字型(洋鋏)の2種類がある。世界最古のハサミは紀元前1000年頃、ギリシャで作られたものでU字型であり、羊毛刈りに使われたとされる。一方、X字型のハサミは古代ローマ時代、羊毛、布、髪を切るのに使われていて、現在、一般的に使用されている。U字型のハサミは現在では和裁など日本での使用が主となっている。

 日本には6世紀に握り鋏が伝わった。奈良時代にはすでに洋鋏が伝わったが、使っていたのは身分の高い貴族等で、普及するのは明治時代以降。「文明開化」と「廃刀令」により、海外から洋服用の厚い生地が入ってくると同時に、洋鋏が大量に輸入された。廃刀のあと刀鍛冶が技術を活かして改良し、日本人向けにも普及。その後も、技術改良で、日本のハサミは後発ながら、世界でも高い評価を受けるようになった。

  終わるまで何度も通過するハサミ  竹井紫乙