漢字の「薔薇(バラ)」は中国語の借用。古くは、音読みで「そうび」や「しょうび」と読まれることが多く、古今和歌集では「そうび」と詠われている。「薔」は中国では垣根、「薇」は風にそよぐことを意味する。垣根に咲いていて、風にそよぐバラ、「薔薇」とはつるバラのことを指している。
読みのバラは、「茨・荊・棘(イバラ)」の「い」が抜けた語。バラやカラタチなど棘のある低木を「イバラ」と言うが、やがて、バラ属の植物を「バラ」、トゲのある低木の総称には「イバラ」というように、使い分けられるように。
バラは、紀元前5000年頃のメソポタミア文明の時代に既に記録がある。神に捧げる薬草として、修道院で育てられ、庶民の栽培は禁止されていた。近代に入り、庶民の間にもバラの栽培が普及。品種改良で様々な新種が生まれた。
日本では、江戸時代以前、わずかな日本や中国原産のバラなどが栽培されていたが、江戸末期からは欧米から「西洋バラ」が輸入され、今日のように多彩なバラの品種が観賞、栽培されるようになった。
日本とオーストラリアの企業が、遺伝子組み換えの共同研究開発により、世界で初めて悲願の「青いバラ」に成功した。2009年、切り花として発売。青いバラの花言葉は、「不可能」から「夢かなう」に。
崩れゆく薔薇を尻目に薔薇が咲く 松田京美