Vol. 153 ヘソ

 「ヘソ」の語源は、もともとは「ほぞ(臍)」。これは古くは清音で「ほそ」と言われていて、これが転じたものであるという説がある。

 また「ほぞ(臍)」は、木材などを接合する際、一方の端部に作る突起。 これを他方に作った柄穴(ほぞあな)に差し込んで合わせる。

 へそはあんぱんの真ん中にもある。この穴には理由があって、
 ・あんぱんに空洞ができないようにするため
 ・中心の火通りをよくするため
 ・外見から中身がわかるようにするため 

である。ちなみに、中身が粒あんのときは黒ごま、こしあんのときはケシの実。

 あんぱんは明治2年に創業した木村屋總本店が世に生み出したが、明治時代の「文明開化の7つ道具」の一つと言われるほどの存在になる。

 「文明開化の7つ道具」とは新聞社・郵便・ガス灯・蒸気船・写真絵・展覧会、そしてあんぱん。あんぱんは、明治、大正、昭和、平成、令和と、トッピングやあんの種類も豊富に、今でも人気菓子パンの上位にランクインしている。

 アンパンのヘソは昭和の生き残り  木本朱夏