Vol. 179 芒 

芒―「ススキ」の名前の由来は、「スス」はすくすく(直々)と育つという意味からきているとするものや、「スス」という部分が「ササ(笹)」から派生したものであるというものがある。この「ササ」という言葉は細やかさ繊細さを意味する「ささ(細小)」から変化してきたとも考えられている。

「ススキ」の「キ」は、「木」「草」「茎」などの「K」の音に通じ、この場合は「草」か「茎」の意味。

漢字名の「芒」は中国表記で、「薄」の方は和製漢字。草が茂っている様子を表す。

ススキの別名で、秋の七草の一つとされている「尾花」は風に揺れる姿(花穂)が動物の尾に似ていることに由来する。

また、古くは「茅(かや)」と呼ばれ、茅葺屋根の材料や家畜のえさとして利用され、集落の近くには「茅場」と呼ばれるススキの草原があるのが一般的だった。

このように、ススキに多くの漢字や呼び名があるのは、もともと音としての名前があって、そこにあとから漢字をあてたからだといわれている。

また、ススキには春夏秋冬で呼び名も違い、春に堤や畔の枯草を焼いた後、一面に黒くなっている野原を「末黒野(すぐろの)」。そこで焼かれ黒くなったススキを「末黒の薄(すぐろのすすき)」という。

 大好きな人と芒が原にいる  小島蘭幸