漢字「後」の起源は、古代中国で占いに使用されていた甲骨文字とされている。甲骨文字での「後」は、ある物体の後ろに立つ人の形を象っており、そこから時間や空間における「後ろ」や「後に続く」という意味が派生した。この漢字が日本に伝わったのは、5世紀頃とされている。
甲骨文字の「後」のあとに、幾つかの字を合わせた会意文字の「後」が使用されるようになる。左半分の「彳(ぎょうにんべん)」は十字路を表す象形文字、右半分は「糸」の先端の上部と、下向きの足の象形を組み合わせたもので、道をゆくときに、糸が足に絡まって、歩みが遅れることから「あと」を意味する漢字が成り立ったといわれている。
が、糸の上の部分の「幺」には、「わずか」という意味があり、またその下の「夂」には、「足をひきずる」という意味があるので、「後」は、「足をひきずり、わずかしか進めず、あとに遅れる様」を表しているという説もあり、成り立ちとしては、こちらの方が自然のような。
チリンチリンと後ろから来る戦車 重森恒雄