Vol. 196 喉

「のど」を上代には「のみど」と言い、奈良時代の文献でも「喉・咽」を「のみど」と読ませている。

「のみど」の「のみ」は「飲み・呑み」、「と」は出入口を表す「と(門・戸)」で、飲むための入り口の意味と考えられる。

「門」 や 「戸」 と書く 「と」 は, 「狭くなっている出入り口」 のこと。 「港 (みなと) 」 は 「水 (み) の門」 で、 「瀬戸」 は 「水の流れの狭くなったところ」。

平安時代に、「のみど」が「のむど」に変化し、この頃には「のど」の表記も見られるようになるが、発音は「のみど(のんど)」だったようである。

中世以降は「のど」と「のみど」の両表記が見られ、多くは「のど」が用いられたが、明治初期までは「のんど」の表記も見られた。

「喉」という漢字は、「口」の象形と「的をうかがい矢を放つ」象形(「うかがう」の意味)からできていて、外部からその形をうかがうことができる口、で「のどぼとけ」を意味する「喉」という漢字が成立した。

 漂泊の氷は喉に 過ぎゆく異教  清水かおり