文鳥をこぶしにすえてひとり言
村田周魚
前回に続いて川柳六大家は
村田周魚(1889-1967)の一句。
先日、ある句会で六大家の作品を
いくつかピックアップして味わい、
なかでも「可愛い」と人気を集めた句だ。
ほんに文鳥可愛いし、
文鳥を手にのせて、むずかしい面持ちで
ひとり言をつぶやいている主人公も
(おじさんならなおのこと)
なんだかカワイイ。
けれど、句の構成やさりげなく盛りこまれた技は
可愛いどころか、いぶし銀の冴えだ。
文鳥を飼っていることから
暮らしやキャラクターが
ふわりと浮かびあがり、
その文鳥を、手のひらでなく「こぶし」に
しかも、のせてではなく「すえて」と
表現されているのが眼目。
「こぶし」は、ただのグーではなく
秘めた悔しさなども深読みさせ、
「すえて」によって、しばし文鳥に
一対一で語りかけるように向き合っている様子も伺える。
でもつぶやいたのはあくまでもひとり言。
さて、どんなひと言か。
文鳥のチュンと、ひとり言以外、
とても静かな昼下がりなど浮かんだ。
勝手からふきのとの香と母の咳 周魚
だまされて居る盃も同じ色
子の便りまだまだ夢は無風帯
時は金時は命とあらたまり
政界の浄化一億輪になろう
(『川柳全集1⃣ 村田周魚』 野村圭祐 編
構造社出版 1979)
過去ログはこちらから▶