Vol. 216 息

古代ギリシアでは、「息」は「プシュケー)」といい、やがて命や魂・心まで指すようになった。日本語でも「いき (息)」から派生して、「いきる(生きる)」という表現が生まれたという。

漢字「息」の成り立ちは古く、息吹を表す象形文字から発展したとされている。
「息」の「自」は鼻の象形、「心」は心臓の象形。心臓部から鼻に抜ける「いき」を意味する。

古代の人々は、生きとし生けるものが息をすることを生命の象徴と捉え、この概念を視覚化した文字が「息」。

江戸前期の語学書「和句解」によれば「い」は「いで(出)」、「き」は「ひき(引)」が由来とされており、江戸中期の語源辞書にも「息」は「生」の意、または「出気(いずるき)」の略とされている。この他、「いき(胃気)」が語源とする説など、定説はない。

 ため息は路面電車の加速音 宮井いずみ