国境を知らぬ草の実こぼれ合い
井上信子
先週8月2日、岩手県は奥州市で
『「川柳人」100周年 及び
佐藤岳俊川柳碑建立10周年記念
七夕川柳句会 及び 懇親会』
が開催され、参加させていただいた。
「川柳人」といえばご存じ、
川柳中興の祖である井上剣花坊(1870-1934)が
「川柳」を創刊、後に「大正川柳」を経て
昭和に入り「川柳人」と改題し、現在に至る。
すなわち、近現代の川柳史のバックボーンをなす
柳誌のひとつだ。
その100周年の記念の場に身を置き、
先人諸氏、そして現・編集兼発行人の佐藤岳俊氏の
川柳スピリッツに直に触れたく
神戸から奥州へ飛んだ。
当日は句会と平川柳氏の講演
「川柳人の歴史と未来」。
また会場では貴重な資料の数々も展示され、
終始なごやかな雰囲気に包まれつつも、
ずしりと歴史の重みを体感した一日。
さて掲句は、
井上信子(1869-1958)の代表作で、
改めての解説は無用だろう。
井上信子は剣花坊の妻で、鶴彬を庇護し、
剣花坊逝去の翌年に休刊した「川柳人」を
48年に復刊、主宰を務めた。
メディアでも折にふれ引用される本作は、
まさに時代を超えて、
やわらかにあたたかに、
そして揺るぎなく胸に訴えかけてくる。
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