「咳」は、「口へん」と「亥」から構成されている。「口」は声や音に関する意味を持ち、「亥」はイノシシや豚の骨格を描いた象形文字で、干支の12番目。ひとつには、口からイノシシのように勢いよく出てくるから「咳」とか。
  
一方で、「咳」の「亥」は「イノシシ」の意味はなく、音符の役割を果たしていて、「咳の音」を表すともされている。
訓読みでは、「咳(せ)く」と読むが、これは同音異字の「ふさぐ」という字の「塞ぐ(せく)」という字と関係があると思われている。
「堰き止める」は「塞き止める」と書くこともできるので、咳をするときは、一度呼吸を止めてから、短く強く吐き出すことから、
呼吸を堰き止めるから → 咳(せ)く → 咳(せき)となったと考えられる。
ちなみに、今年すでに流行しているインフルエンザは、古代ギリシャの医者であるヒポクラテスによって紀元前412年(前5世紀)に記録が残されており、これがインフルエンザの最古の記録だといわれている。
日本でインフルエンザと思われる病気の最古の記録は平安時代。当時はインフルエンザを含め、風邪や結核などのことを総称して、咳逆(しはぶき)、咳逆疫(しはぶきやみ)とよんで、人々を苦しめていた。
  紀元前二世紀ごろの咳もする 木村半文銭
          
         
