羊は、中国では昔から家畜として大切に扱われてきた。3000年くらい前には、遊牧民族として羊を放牧。羊は栄養源であり、儀式の際の貴重な生贄でもあった。もちろん毛皮としても。
そのような理由で「羊」という漢字の由来は、羊そのものの顔の形を表現した甲骨文字にさかのぼる。また、ヒツジの読みの語源は、干支の「未(=羊)」に由来し、未の時は日が西へゆく通路があるということで、「日辻(ヒツジ)」となったなどの説がある。
ところで、眠れないときは、羊を数えたら良いといわれているが、羊を数える入眠法は、英語圏からやってきている。One sheep(シープ), two sheep, …と数えてみると、One sleep(スリープ), two sleep, …と響きがどこか似ている。”One sheep, two sheep…” と唱えているうちに、頭が “One sleep, two sleep…” と誤解して、その暗示効果で眠たくなってゆくというもの。
また、英語圏の人々にとって、羊には、草原でゆっくりと草を食んでいるという、牧歌的なイメージにつながっているから、というもの。ほかに、”Sheep” は息を吐くように発音する単語で、その発音によって複式呼吸がうながされて、眠りに入りやすくなる、という説もある。
つまり、羊が1匹、羊が2匹…と数える方法は、日本人にとってあまり役に立ちそうもないような。
悲しい夜かなしい羊うみました 竹内ゆみこ