ほっとけば素数のように並び出す
渡辺遊石
素数とは、なんて今さらここに記すまでもないけれど
改めて手元の辞書で引くと
「1およびその数自身のほかに
約数を有しない正の整数。
1を除いた、2、3、5、7、11など。
無限に存在する。」
と、この最後の「無限に存在する」に
ロマンがあるなあ。
さて掲句、
「素数のように」とたとえられているものは
なんだろう。
たとえば何かの個性派集団で
いっけん烏合の衆のようでありながら
それぞれがちゃんと屹立しつつ
ごく自然に法則を心得たように並びだす。
そのひとつひとつの強みと、
並びの美しさ。
仲間たちとの活動はかくありたし、
と我田引水にもほどがある読みながら、
ちょうど先日、
NHKで素数を扱った特集番組も見たばかりで
世のさまざまの事象のカギを握る
素数なるもののクールさ、不可思議さに
新たに魅入っています。
(「川柳葦群」第74号 2025年7月)
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