寝ていてもうちはの動く親心
古川柳
今回はちょっと趣を変えて古川柳です。
掲句は人口に膾炙し、
古川柳の代表例にも挙げられるひとつ。
子に添い寝して、つい自分もうとうとしつつ
手した団扇は子をあおぎ続けて
風を送ったり、蠅や蚊をよけてやったり。
とうにエアコンの時代になっても
江戸の親心に、ほんになあと頷きます。
さてこんな、子どもの登場する楽しい古川柳を集めた本があります。
タイトルも『古川柳と子供』、多田光 著。
さる古川柳研究家の方より譲り受けた古書ですが
私家版で、刊行年も不明。
ただ、あとがきには
「房総新聞」に連載された「川柳雑話」からの抜粋に
昭和34年、産経新聞千葉版に掲載された
「古川柳と房総」を収録、とあり、
ページからは昭和の香りも立ちのぼります。
ともあれ、めくるたび、思わず頬のゆるむ本書には
たとえばこんな句も。
母のえくぼを突っついて乳を飲み
借りた子をりきんだ顔にして返し
雨だれを手へ受けさせて泣き止ませ
紙びなにすもう取らせる男の子
かやつった夜は珍しく子が遊び
過去ログはこちらから▶