Vol. 59 朝顔

 夏の朝、涼し気に咲く朝顔。小学校の夏休みの宿題で、私だけ朝顔が夏休みも終わるころにやっと咲いて、やきもきしたことがある。朝顔は、夏の朝、咲くので「朝顔」。英語圏では「morning glory」と呼んで、「朝の輝き」。

 朝顔の原産国は中国とされていて、もともと観賞用ではなく、下剤として使われていたそうである。4世紀頃から使われていた朝顔はとても貴重なもので、牛と交換するほどの価値があったとか。

 朝顔が中国から日本に渡来したのは、奈良時代。当時の朝顔は,青色で小さな花だったそうで、日本でも薬として活用されていたが、品種改良も進み、次第に観賞用としても人気が高まっていった。

 江戸時代には、2回の朝顔ブームがあった。第1次ブームは、江戸であった大火事の跡地に朝顔を植えたところ、珍しい形の朝顔が咲き、人気に。第2次ブームは、そのあと1800年代中頃から。「朝顔師」という人が、品種改良を行ったり、品評会も開催して、またブーム。明治時代になっても、朝顔市などが行われるほどの人気に。

 朝顔の蔓は、円を描きながら巻きつくものを探している。円を描くスピードは1時間におよそ1回転。蔓には接触したことを感じると「太く短くなる」という性質があり、蔓は接触した側面を内側に巻き込むように伸びていく。

  朝顔の蔓のゆくさきなら欲しい  畑 美樹