鰓(エラ)とは、水中で活動する動物が、水中の酸素を体内に取り込む、あるいは二酸化炭素を放出して呼吸をするための器官のこと。主に魚についているので、「魚へん」が使われるようになったといわれている。魚以外にも、軟体動物、昆虫、鋏角類、両生類などで鰓が見られる。また、「鰓」と書いて「アギト」とも読み、こちらは「あご」を意味する。
鰓の字の右の「思」という漢字は、頭を意味する「田」と、心臓を意味する「心」の組み合わせでできている漢字。「田」はここでは田んぼの意味ではなく、人間の頭蓋骨がいくつかの骨の組み合わせでできていることを表している。そこから、魚の頭と心臓の間にある鰓に対して「思」という漢字が使われるようになったという説がある。「思う」という働きが頭脳と心臓を中心として行われることも示す。
また、「思」という字には、「小さい隙間を通して、ひくひくと細かく動く」という意味があり、魚の鰓も、呼吸の際に細かくひくひくと動かされることから、「思」という漢字が使われるようになったという説も。
忘却というもの鰓もその一つ 古谷恭一